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診療用放射線の安全利用のための指針策定に関するガイドライン | 診療放射線技師がPythonをはじめました。

診療用放射線の安全利用のための指針策定に関するガイドライン

診療用放射線の安全利用のための指針策定に関するガイドライン の概要

令和2年(2020年)4月1日に施行されるこになった診療用放射線に係る安全管理体制に関する規定に関して気を付けなければならないなと感じた場所をちょっと書いてみたいと思います。

日本医学放射線学会のホームページにガイドラインが掲載されています。

そもそも、今回の法改正は一体何なのかというところですが医政局通達を見てみると「医療法施行規則の一部を改正する省令」という記載がなされています。

では一体、 医療法 のどこが改正されるのかという事ですが、

医療法の規則第1条の11第2項第3号の2

が新規で追加される改正がなされる事となりました。

内容としては 「診療用放射線に係る安全管理」という項目が追加されます。

規則第1条の11第2項第3号に「医療機器に関する安全管理」との項目があるのですが 一体何が違うのかという疑問が出てきます。

医療機器の安全管理とは、CTや、MRI、一般撮影等医療機器の点検をしっかりとやりなさいという項目であったわけですが、診療用放射線にかかる安全管理とは、検査に用いる放射線の量の管理、いわゆる被ばく線量の管理をしっかりと管理をしていってくださいという事です。

放射線の職業被ばくや、公衆被ばくに関しては線量限度が定められているわけですが、医療被ばくに関しては線量限度は設けられていません。

今までは、医療による被ばくがリスクよりも利益が大きい場合に放射線診療が行われてきたわけですが、そこに線量に対する考えは全くありませんでした。

そこで今回、線量の「正当化」という考えが組み込まれることとなりました。検査に必要な線量以上の放射線照射がなされていないという根拠を担保し管理していきなさいという事を法的に定めたわけです。

ここで、注意しなければならないのは管理ということであって、被ばく線量を記録しなさいという事ではないという事です。


医療放射線の安全管理者の配置

まずは、何をやらなければならないのかと言えば「 医療放射線の安全管理者 」の配置となります。

では、誰がなれるのかという事になるのですが

  • 診療用放射線の安全管理について知識と経験を有する医師・歯科医師
  • 診療放射線技師
  • 常勤職員であること

となっています。しかし、診療放射線技師が医療放射線の安全管理責任者となれるには以下の条件があります。

「医療放射線の安全管理を担当する医師を定め、医療安全管理責任者である診療放射線技師に対して適切な指示を行う体制を確保することが望ましい。当該医師は放射線診療の正当化を担保し、医療放射線安全管理責任者である診療放射線技師とともに放射線神慮の価値を踏まえた最適化を担保する」となっています。



医療放射線管理委員会の設置

医療放射線安全管理者を委員長とする委員会を設置することが望ましいとされています。委員会の活動内容としては

  • 放射線診療のプロトコール管理
  • 被ばく線量の管理
  • 放射線の過剰被ばくその他の放射線診療に関する事例発生時の対応並びにこれに付随する業務

となっています。


診療用放射線の安全利用のための指針策定

診療用放射線の安全利用のための指針策定が必要となります。

指針の策定に関しては、日本医学放射線学会日本放射線技師会のホームページに案が掲載されています。


診療用放射線の安全利用のための研修

「研修は他の医療安全に係る研修と合わせて実施しても差し支えない」との記載があります。よって、管理区域に立ち入るものの教育訓練と共に開催しても構わないという事です。 また、時間数の規定もありません。

研修は1年度あたり1回以上となっています。

研修の対象者は

  • 医療放射線安全管理責任者
  • 放射線検査を依頼する医師および歯科医師
  • IVRやエックス線透視・撮影を行う医師および歯科医師
  • 放射線科医師
  • 診療放射線技師
  • 放射性医薬品等を取り扱う薬剤師
  • 放射線診療を受ける者への説明等を実施する看護師等

となっており、検査依頼をする医師と、検査説明をする看護師等となっておりますので、もし、検査説明を事務さんがするのであれば、その方も対象となります。

また、研修対象者の名簿と、研修を受けたものの記録を残すことが必要となってくるのですが、そこに職種も記録しなければなりません。


放射線診療を受ける者の被ばく線量の管理および記録

線量管理、線量記録対象の機器は以下となっています。

  1. 移動型デジタル式循環器用X線透視診断装置
  2. 移動型アナログ式循環器用X線透視診断装置
  3. 据置型デジタル式循環器用X線透視診断装置
  4. 据置型アナログ式循環器用X線透視診断装置
  5. X線CT組合わせ型循環器X線診断装置
  6. 全身用X線CT診断装置
  7. X線CT組合せ型ポジトロンCT装置
  8. X線CT組合せ型SPECT装置
  9. 陽電子断層撮影診療用放射性同位元素
  10. 診療用放射性同位元素

1~5は血管造影全体を示しており、循環器という名称は医療機器の一般的名称であり循環器診療に限ったものではないとされています。また、これらは一般的な透視装置も対象となっていることに注意が必要です。

CTに関しては、放射線治療計画用CTも対象となっています。

管理の詳細としては

CTに関しては、プロトコールの一覧を作成、リスト化する必要があるとされています。そして、プロトコールの変更が無い場合は、1年に1回以上診断参考レベルとの比較を行う必要があります。これに関しては、治療計画用のCTでも必要とされています。

日本医学放射線学会のQ&AにはRIのSPECTCTや、PETのCTなどに関する記載はありませんが、必要になってくること思います。

また、再撮影の記録も必要と記載されています。

管理記録の参考資料がこちら(日本医学放射線学会)に掲載されています。


その他

  • 患者への放射線診療、検査等説明の記録
  • 患者からの被ばく線量の問い合わせを受けた場合の体制整備
  • 過剰被ばく、放射線障害があった際の報告対応体制の整備


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最後に

今回の法令改定に関して、放射線管理に関する事がとうとう法令化されてしまったという感想です。

管理加算3を算定している施設であれば行われている管理を、算定していない施設でもやっていかなければならないという事なのかなと感じました。また、ここまで線量管理をしていくのであれば、日本放射線技師会でやっている被ばく低減施設認定の取得もしやすいのではないかなという感想です。

被ばく低減の施設認定を取得してしまえば、放射線管理士、放射線機器管理士の更新が容易になれると思います。

また、今回の法令改正で線量管理のソフトを購入しなければならないのかという質問をしているところをよく見かけるのですが、法令では全く触れられていませんのであしからず。


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参考資料



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